10月もそろそろ終わり 3

昨日はうつ病の同僚の話、今日はもっと珍しいメンタル関連の病気な同僚の話です。20歳のフードコート遅番女性。中国籍新潟市内の他のショッピングモールで採用されたんだが持病のせいや語学習熟度などのせいで、半年独り立ちできずに人手不足のうちの現場にトレードされた。

彼女の持病はナルコレプシーで、もちろんその病名知ってます阿佐田哲也だ。「鳴子の親分」と山口瞳が同行した紀行文「温泉へ行こう」で呼んでいたが風呂に入ったままで寝る、マージャンしながら寝ちゃうとナルコという病気のすごさを書いていました。でもって眼前にナルコの淑女だ、本当にあっという間に寝てしまう。フードコートの作業で大事なのがテーブルクロスの洗浄とたたみ作業なんだが、そのさなか徐々に手が動かなくなりあっという間に寝てしまっている。それも一日数度も…いやたぶん何度も何度もこちらが見ていない間にいくらでも寝てしまえるのだろう。

とても浅い眠りなので声を掛ければそそくさ作業に戻るが誰も気づかねばどうなってんだか、ちょっと怖くて試してはない。職場まで電車とバスで2時間弱の通勤なんだが、最初気付かずに「早く免許取って車通勤すりゃいいよ」と行っちゃったが、まああれでは免許は取れないし、取らせたくない、本当に気を失うみたいに入眠しちゃうの。本当に可哀想だが現在20歳の彼女が、適職に就くことができるか?日本語堪能な日本人だったら諸々アドバンテージ使うことでハードル超えれるかもだが、数年前に一家で来日した片言日本語の彼女の将来がものすごく心配だし、あとそれより彼女とペアで働かなくてはならぬわたしを含む数多のフードコート要員がみな疲弊しちゃう方も心配です。

阿佐田哲也は今後まったく消えてしまう作家かもしれず、記憶しているヘンなエピソード記しておきます。トントン相撲ってか子どもがそんなの始めちゃって、そうするといちいち観客をひとりひとり措定しないといけなくなってそのうち両国のあたりを走る省線に乗る乗客まで書き出さないとならなくなる…って話をつかこうへいとの対談でいってたか。新潟県の奥地でいつまでたっても注文の蕎麦が出てこない蕎麦屋の話のあとで、近所のソバ屋で店主が賄い用に麺をゆで始めたのを、自分への予測と勘違いし何杯も何杯も意地で注文した話とか…「怪しい来客簿」も「狂人日記」ももちろん「麻雀放浪記」も傑作なんだけれど、なんだか度肝を抜かれるエピソード溢れるエッセイもいっぱいあったな。

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